導く月と花に誓う
その声にハッ、として、すべての動きを止める。
「…何か、私にご用でしょうか?」
顔だけ振り向き仰ぎながら、なるべく冷淡な声で答えた。
すると、彼女の身体は何か恐ろしいモノでも見たように…聞いたように強張る。
そのまま、彼女は黙って動かなくなり、俯いた。
────…それでいい。
早くここから立ち去らなければ…。
「…ご用がなければ、私はこれで…」
再び踵を返し、その後は振り返ることなく、歩みを再会させたその時だった。
「何がっ…!
何が『ご用がなければ』よっ!
ご用なんて、大アリだっつーの!!」
下手すれば、街の方まで聞こえてしまいそうな大声がここいっぱいに響き渡る。
バサバサバサ、と一斉に鳥が羽ばたいた。