導く月と花に誓う
思わずビクリと体が震え、すぐに振り向くと、彼女は木から落ちそうになりかけていた。
「…千秋さま…っ」
「い、いいから!」
ほっといて、と叫び、どうにか体勢を立て直す。
その姿に少しホッ、とする。
「たまにはあたしを頼ったっていいじゃない!
独りでなに抱え込んでんの!
…そりゃ、あたしは何もない失敗作だけど…
少しくらい力になりたいって思うのは当たり前でしょ!」
態勢を立て直した彼女は、一気に捲し立てあげた。
その言葉に、呆気にとられる。
「…独りにしない、って約束もウソだったわけ!?…バカにしないで!
あたしだって、見分けくらいはつく、って言ったでしょ!」
再び叫び終わった時、彼女の肩は上下に揺れていた。