導く月と花に誓う
「…勝手に人の心の中に入ってきて…っ
今度は忘れろ!?
そんなこと、出来るわけないでしょ!」
「……千秋さ、…」
「好きなんだから!
例え、あなたが好きじゃなくても
…あたしは狐燈が、好きなんだから…っ!」
──────…っ
その言葉に、はっ、と息を飲んだ瞬間、ズルッと彼女の身体が傾いたと思うと、今度はまるでスローモーションのように下へ、落下した。
────…駄目だ。
彼女に触れてしまえば、また傷つけてしまうかもしれない。
…裏切って、しまうかもしれないのに。
それでも、気持ちとは裏腹に、身体は素早くそこへ反応していた。
ゴォ…と、勢いよく吹いてきた風とともに…
───彼女の身体は地面へ直撃する前に、腕へすっぽり収まった。