導く月と花に誓う
「…申し訳、ありません…」
絞り出すように答えると、ゆっくりあたしを降ろす。
そよそよ、と吹いてくる風が狐燈の袴と九尾を靡かせている。
あたしを降ろしたあと、彼はそのまま跪いた。
「貴方を困らせないためについた嘘を
逆に困らせ、泣かせてしまうなんて…」
あれで困らなかったらすごいよ、それ…。
ハァ…、といろんな意味でため息をつく。
「……本来は、私から言うべきでした…」
ふいにゆっくりとした、穏やかな声が降ってきた。
「……?」
「…恐れたのです。
貴方を失うことを恐れ、
そこから逃げた結果がコレです」
そう言って、とても哀しそうな瞳をあたしへと向けた。
淡青の瞳が、ゆらり、と翳る。
「この鎖のせいで、ずっと好きだった
女性に嫌われたくありませんでしたので」
その言葉に、熱を帯びてあたしの胸が脈打った。