導く月と花に誓う
それから立ち上がると、不意にあたしを抱き締める。
「この数週間……いいえ…、
この十数年、貴方を思わない日など
1日もありませんでした。
───愛しています、千秋さま…」
静かに、あたしの髪に顔を埋めながら耳元で囁いた。
その言葉に、あたしの涙腺は再び、崩壊寸前。
「……あたしは、好きじゃない」
「もう遅いです」
そう言って、ふふっ、と笑う。
…涙、引っ込んだわ。
「…二度と言わない」
「おや、今はツンの方ですか。
それも可愛らしいですが…
私は先ほどの方が…」
「ちょっと待った!
それ以上言うなあぁーーーっ!」
バッ、と離れ、勢いよく頭をかかえる。
…あたし、なんてことを口走ったんだ…っ!
あぁぁ…、思い出すだけでも恥ずかしすぎる…。
もう忘れたい…。