導く月と花に誓う
だから、あたしは雅を恨んだりはしない。
お嬢様はお嬢様なりに悩みだってあるもんだ……。
「…あ、でも…
あたし、部外者だから入れないか…」
「それなら、私におまかせください」
いつの間にか、狐燈の位置があたしの後ろにあったと思えば、突然身体がふわり、と浮いた。
「…雅さまも、貴方を待っているはずです」
「……待ってる?…どういうこと…?」
「ここ数週間、雅さまに仕えていましたが
どこか…上の空な感じでしたので…」
そう言いながら、狐燈は上空へと舞い上がった。
「──…え、あの雅が…!?」
「はい」
…それは、なにかの間違いじゃ…
だってあんなお嬢様気質の雅があたしを待ってるとか…
それに、今までのことだってあるし…
…雹でも降るんじゃないかな……