導く月と花に誓う
あたしの言葉に、雅はさらに眉をひそめ、訝しそうに見据えてくる。
「…口止めされてたけど…
もう、いいかな…」
…当事者はいないし…
「あの部屋のすぐ隣に絵があったじゃん?
その裏に鍵があるはずだから…。
それで、自分の目で確かめてみたら?」
あれは、自分の目で見たほうが手っ取り早いし、何より理解しやすい。
じゃあ…、とあたしが踵を返してドアへ向かおうとした時。
「……なんで…」
背後から雅にしては珍しい、細い声が静かに響いた。
それに対し、あたしは、はて?と再び、雅に視線を向ける。
「……なんでよ……。
千秋にはたくさんひどいことをしたのにっ
なんで、そうやって……っ!」
「…なんで…って言われても…、
だって、雅はあたしの親友だから…」
俯く雅に、あたしは少し自嘲気味に言って、再び周りを気にしながら屋敷を出た。