導く月と花に誓う
新たな訪問者
―――…ま、…ち……き…ま…
とても、心地いい声。
それは簡単にあたしの脳へ溶け込み、脳から胸へ、全身を侵食していく――…
「……ま、…千秋さま…」
「…んー…もうちょっとー…」
ごろりん、と寝返りを打って、布団を頭までかぶる。
「…ですが…本日より学校では?」
そんな上から聞こえた言葉であたしはハッ、と一瞬で覚醒した。
瞬時に携帯の時計に目を向ける。
只今の時刻…7時50分。
学校…8時15…分……
「…きゃーーーーっ!
…うそっ!遅刻!」
自分の目を疑いながらも、ガババッと布団から出て、大急ぎで着替えた。
そして、バタバタと部屋中を走り回る。
「千秋さま、朝食は…」
「…ごめんっ!今日は食べられない!」
申し訳なさいっぱいで台所にいる狐燈に謝る。