導く月と花に誓う
「いえ、お気になさらずに」
そうは言っても、心なしに見える耳と尻尾は、しゅーんと垂れ下がっている。
あぁ……ほんと、ごめん。
「…行ってきます」
「はい。お気をつけて」
そう言って、頭を垂れた狐燈を背にしてあたしはもうダッシュで家を出た。
とりあえず始業式から遅刻とか洒落になんない…っ
て、今はそんなことより急がないとっ!
反省文だけは勘弁したい…っ
考えるだけで恐ろしい、と思いながら、力を緩めず走り続ける。
そして、ある角に差し掛かった瞬間、反対側からきた相手と見事に衝突してしまったのだった。
まるで、どこかの少女漫画のように…