導く月と花に誓う
そして、ぶつかった相手に。
キュン……
なーんて、あるわけがない。
「いったー…」
「…ってぇ…」
お互い、自分の頭を押さえることで精一杯なのに、恋の予感なんてあり得ない。
あるわけがない。
あたしは頭をさすりながら時計を確認。
時刻、8時10分。
チャイムまで残り5分……。
…ひいぃぃ…っ
「…あの…っ、大丈夫ですか!?
すみません!ごめんなさい…っ!」
もう時間しか頭にないあたしは、すぐ近くに落ちていたカバンを拾い上げて、また全力で走り出した。
なぜ二回も謝ったかは不明。
だけど、きっと許してくれるはずだ。うん。