導く月と花に誓う
『――……は?』
『は?って何よ。
このあたしがこうして出向いてあげてるっていうのに』
目の前の人物は、腕を組みながらぶつくさと言葉を並べる。
『いや……、……なんで?』
『…あたしも……』
『………?』
『なんでもない。
もういいわ。さよなら』
そう言って、ふん、と鼻を鳴らして、あたしに背を向けた。
…そして、一枚の折りたたまれた紙をあたしに投げつけそのままカンカンカン、と階段を降りて行ってしまった。
あたしは、首を傾けるしかない。
その人物、雅の姿が完全になくなったのを確認して…
あたしは落ちている紙を拾い上げた。
そして、折り畳まれている紙を広げ、内容に目を向けた。
〈馬鹿千秋へ。〉
出だしはこうだった。
…馬鹿はないだろ馬鹿は。