導く月と花に誓う



怪訝そうに見ていたあたしに、ん、と差し出されたのはどう見てもあたしの学生手帳。





それを見て、え?と一時停止して、カバンの中をかき回すようにあさる。






――――…ないっ!






「朝、ぶつかった時に落としたらしい」





……な、なんてこったあたし。

なにやってんだ…





「…あ、あの時はホントすみませんでした!
わざわざありがとうございますっ
なにかお詫びを…っ」




あわわわ、と手帳を受け取り、勢いよく頭を下げる。





「…あぁ、別にいいよ。気にすんな」





そんなあたしとは反対に冷静にそう言った木村くんは、踵を返し、そのまま去っていってしまった。





…なんて、親切な…っ




しばらく木村くんの背中を見据えた後、急いで支度を終わらせて教室を出た。












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