導く月と花に誓う
わっ、と思わず手をかざしながらも、ソッと目を開く。
その姿を見てまた驚愕する。
バサバサ、と風に揺られながら彼の衣服はなぜか袴に変わっていて、尻尾みたいな分かれているモノが個々に揺れていた。
いや、確実に尻尾だろう。
ちょっと、ウズウズ…。
そして、頭にはピクピク、と動いている耳が…生えていた。
目の前の高尾宏樹の瞳は何か恐ろしいモノでも見たかのように、大きく開かれている。
「…ば、バケモノ…っ!」
そして、そう叫ぶと、どこへ行くのか走り去っていってしまった。
それを見て、狐燈は尻尾を揺らしながら
今度は、あたしの方を向いてきて。
「…大丈夫ですか?」
そうあたしへ向けてきた瞳は、
なんとも言えず複雑な様子をしていた。
「あ、う、うん…」
ほぼあたしも放心状態のまま、こくん、と頷く。
それから、ここで話すわけにもいかず……
説明はあたしの家で…ということになった。
幸い、あたし達のいたところは人通りが極端に少ないため、他人に見られる心配はなかった。