導く月と花に誓う
「…お前にはもう、東条との契約はないといってもいい。
…このまま行ったら、完全に消えるぞ」
…そう。
雅さまの件で、春樹さまとの契約は完全に破棄された。
そして、この先の言葉は誰にだってわかる。
「……何を仰りたいのですか」
しかし敢えて、しらを切る。
「───あいつと、契約を交わせ」
予想通りだった。
それが、何を意味するのか…
……一人の愛しい人を、命の危険に合わせるくらいなら。
「……私は、喜んで消滅します」
…極普通の人間の少女に、
―――“契約”
という鎖はあまりに重荷すぎる。