導く月と花に誓う
『…そして、その妖怪はもう一つその妖狐に…呪(まじな)いをかけた』
さわ…、と秋らしい風が、月に向かって吹き抜けた。
『……ま、呪い?』
『…ああ、猫鈴の話だと…
二度と狂わないように記憶を、封印したらしいんだ。
……己の姿が…消える時まで…』
『……え?』
『簡単なことだよ。
記憶が戻る時、それは…
───魂が、消える時』
…………っ!
『…ど、どうして…っ』
『……さぁ…。
猫鈴から聞いたのは、ここまでだし。
ただの噂に過ぎないし、ほんとか嘘かもわからない。
この話に出てくる魂が、誰のものかもわからない。
…ただ…もし、本当にその妖狐が話に出てきた妖狐なら…
黒瀬が直接聞いた方がいい…――――』
……とか。
もう、あたしどうすればいいんだろう…