導く月と花に誓う
そして、どうせ飽きたらすぐに放っておくだろう…
そう、思っていました。
しかし、貴方は放っておくどころか
小さな社に避難させ、さらには私に、毎日のように食べ物を持ってきてくださいました。
例え大雪の日でも、雨の日でも貴方はいつも笑顔で、必ず私のところへ来てくださった。
しかし、春が来るとともに貴方は、姿を消してしまいました。
それから月日が経ち、必死に探した結果…
やっと貴方を見つけたのです。
しかし、貴方のことを知った時、
私には理解できなかった。
姿は変わっていても、貴方は…
出会った時の貴方のままだったからです。
どんなに辛くても、独りでもしっかりと地に足をついて…
前を向いて進んでいました…。
私は、そんな貴方の力になりたいと思ったのです。
―――………千秋さま…?」
そう、名前を呼ばれた瞬間でハッ、とした。
あたしの瞳から、ポロポロと生暖かいモノが流れていることに気づいたから。
別に悲しくなんてない。
悲しいわけがない。
…でも、それでも本当は、
誰かに気付いてほしかったのかもしれない。
孤独、というものを知ってほしかったのかもしれない。
そして、なによりも…、
どんなことよりも、
それに気づいてくれた人がいる、ということが、嬉しかった。