導く月と花に誓う
その時。
ガチャン、と扉が開く音に、すぐさま反応した。
もしかして、という期待はどこから出てきたんだろうか。
「何をしているんだ」
……そんなわけ、ないのに。
「お前も、あいつも……
何を躊躇しているんだ」
まったくわからん。
と、言葉を紡ぐ。
「………」
「あいつはまだ消えちゃいねーよ。
もしかしたら、近いうちに消えちまうかもしれないけどな」
黙ったままのあたしに、そいつはさらに続ける。
「お前の中にある常識を破れ。
人間ゆえ、という常識を壊せ」
無茶言うなよ。
と、もう叫びたくなる。
言いたくなるけど、今はその言葉は、
ある意味、合っているのかもしれない。