導く月と花に誓う
「…狐燈は、今どこにいますか…」
そう言ったあたしに、鬼野郎はニヤリ、と笑う。
「お前なら、わかるはずだ」
その表情は、とても楽しそうだった。
普通の人ならどこだよ。と、ツッコミたくなるほどの簡略化。
でも、それがわかるあたしは再び立ち上がり、ドアのほうへ向かう。
「お前らは、よくわからねぇ。
ま、せいぜい頑張れよ。千秋。
一つ、いいことを教えてやるよ。
いいか…─────」
────え?
今なんて…、と振り向いた時にはもう、誰の姿もなかった。
……なにあいつ…。
でも、自然と嫌ではなかった。
むしろ零れてきたのは、笑いだった。
あたしは家を飛び出し、再び走り出した。