導く月と花に誓う
混純




────────…






今日でどれだけ走ったんだろう、と、そんなことを思いながら神社に着くと。





強い風が、ぶわり、と吹き渡る。





まるで木が生きているみたいに…唸りをあげた。






その中に立つ、一つの影。






華が咲いているように見えるソレは、四方八方に揺れている。




遠くから見るその姿は泡沫のように儚く、なぜかあたしの知る人ではないような雰囲気をまとっていた。





相変わらず吹き抜ける強い風が、この空間を包み込む。




ザァ…、と木が声をあげた時。






「―――…千秋さま」







その音と重なって、低音の声が静かに、響き渡った。














< 199 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop