導く月と花に誓う
混純
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今日でどれだけ走ったんだろう、と、そんなことを思いながら神社に着くと。
強い風が、ぶわり、と吹き渡る。
まるで木が生きているみたいに…唸りをあげた。
その中に立つ、一つの影。
華が咲いているように見えるソレは、四方八方に揺れている。
遠くから見るその姿は泡沫のように儚く、なぜかあたしの知る人ではないような雰囲気をまとっていた。
相変わらず吹き抜ける強い風が、この空間を包み込む。
ザァ…、と木が声をあげた時。
「―――…千秋さま」
その音と重なって、低音の声が静かに、響き渡った。