導く月と花に誓う
「どれ程、貴方にお会いしたかったか…
手を、差し伸べたかったか…」
そう言って、微笑むとすぐに悲しそうな表情で言った。
「しかし、私の姿で貴方を恐がらせてしまったのなら…
私はもう、ここにいる必要もありません」
そう言うと、スッと立ち上がる。
「…貴方に会えたことでも
私にとっては幸せなことです」
まるで、これで最後…
というような口振りだ。
そして、私に軽く会釈し部屋から出ていこうとした時、あたしはバッ、と立ち上がって叫んだ。
「…ちょっと待って…っ!」
あたしの言葉に、彼は立ち止まり、一瞬驚いた様子で振り向いてくる。