導く月と花に誓う











そして、言葉を紡いだのだ。




















「───…私と契約を…
交わしてはくれませんか…?」




と。






静寂になった空間に、ザァ…と風が吹き、あたしの髪を軽々しく持っていく。






あたしは、乱れた髪を少し整える。










「―――うん…」






大きく返事をして、笑顔を向けた。






それから、勢いよく目の前の人に抱きつく。









『──…いいか。契約の仕方は
それぞれによって異なるんだ。


すべては、気持ち次第…。



本当に互いに心が通った時にのみ、その権利は与えられる』







たまには、いいことを教えてくれるじゃん。




……鬼野郎のくせに。










あたしがあまりに勢いよく飛びついてしまっために、彼は後ろのめりになって、そのまま地面へとついてしまった。





その上にあたしが乗っかっているような体勢。







< 205 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop