導く月と花に誓う
その事態に気づいたのは、その約数分後。
「ご、ごめん…!」
あわあわ、と慌てながら狐燈から退こうとした時、ぐっ、と腕を掴まれ、引っ張られたと思うと…
あたしは彼の腕の中にいた。
九つの尻尾が、あたしをやんわり、包み込む。
「……この先もずっと…
貴方を、愛しています…」
他の人には、決して聞こえない、小さな声であたしの耳元で囁く。
「………」
……あれ…?
でも、なぜか嬉しいはずなのに、あたしは…それにまた違和感を感じてしまう。
そんなあたしを、彼が訝しそうに見据えてくる。
「――…千秋さま?」
そして、彼はあたしの名前を呼ぶと、顔を近づけてきた。