導く月と花に誓う
あたしは、グッ、と拳を握りしめると。
「───見せて。
どんな姿でもいいから…。
あたしだけに、見せてほしい」
柄にもないことを言ってしまった。
だから言ってから、あれ…?と思う。
…あたしだけに、ってなんで…?
ここ最近で、かなり支配されてるような気がしてきた……。
すると。
「仰せのままに」
手を胸の前まであげて、彼は軽く頭を下げて答えた。
その刹那、今までにない風がすべてのモノを包み込む。
あたしは、生まれて初めて風に飲み込まれることを体験した。
そして、やがて風が止み姿を現したのは……。