導く月と花に誓う
待て、と言ったものの、その先に、え…と、と言葉につまる。
「…別に、あたしは姿なんて、気にしない…。
助けてくれた人を恐がるほど、
あたしはそこまで要領よくないし。
あの時、あそこに狐燈がいなかったらあたしは、きっと悔しいだけで終わってた…
何も言えなくて、後悔だけがずっと残ってたと思う。
だから…その、…いろいろとありがとう」
そう言ってから、うつむいた。
うつむき加減で言ったので彼の表情は見えない。
だけど、ふわ、とあたしに影がかぶさったのはわかった。
ふいに視線をあげると、その先には跪いている彼の姿があった。
「そのようなお言葉、私には勿体ない。
言いましたでしょう。
私がどれほど、貴方の力になりたいと思ったか…」
そう言って、彼は優しく微笑んで。
「お礼を言わなければならないのは、
…私の方です。
あの時、こんな私を救って下さり、
ありがとうございました」
ですから、と彼は続ける。