導く月と花に誓う
居場所と約束
―――気が付くと、目の前にはよく知っている二人がいた。
『なんであんたなんか、産んだんだろう』
最後に二人でそう言うと、その姿は暗い暗い闇の中へ跡形もなく消えてしまった…。
ハッ、と目をあけて勢いよく起き上がると。
そこは、何の変哲もない殺風景な自分の部屋で。
…久しぶりに嫌な夢を見てしまった…
後味を悪く思いながら、あたしはサッ、と服を着替えて自分の部屋を出た。
狭いため、あたしの部屋をすぐ出るとそこはもう、客間。
という造りになっている。
「おはようございます、千秋さま。
本日もお美しいですね」
と、ニッコリ、微笑みながらあたしの前に立つのは、黒いスーツを纏う、男の人。
人に言えば、信じてなんてくれないだろうな…
実は、あたしは今、妖怪と暮らしていたりします。