導く月と花に誓う
「辛いなら、無理に…
言わなくていいから」
そう言わないと、彼の性格上必ず、言ってしまいそうだったから。
でも。
「貴方は、本当に…お優しいですね」
あたしが何て言っても、彼は、言おうとするのだけど。
…いいのか、悪いのか…、
いや、悪いだろう。
「私は、同じことを…
繰り返して、しまったのです」
そう言って、苦し紛れにあたしから、視線をそらした。
そして、話し始める。
過去という名の辛い記憶を。