導く月と花に誓う
妖狐こと、狐燈がウチに住み始めてから、数日が経った。
「お…はよう、ございます」
つい先ほどの言葉を不審に思いながらあたしもペコリ、と挨拶する。
この待遇に未だに慣れず、ぎこちなくなってしまう。
しかしそれを見た彼は、ニコリ、と微笑み。
「朝食の用意ができておりますよ」
そう言って、いそいそと支度をし始めた。
前も思ったことだが…
なぜこうも、完璧な食事を作れるのだろうか、
とつくづく感心してしまう。
ほわほわ、と美味しそうな湯気を放ち、ぴかぴかに輝くご飯。
これまた湯気を出し、食欲を誘う匂いを漂わせる味噌汁。
そして、その他おかず諸々(もろもろ)。
といった純和風な朝ごはん。
「…いただきます」
少し食べることが忍びないが…
せっかく作ってくれたので食べる。
そして、やっぱり味も完璧なんだ。
だって妖怪でしょ…?
人間のあたしよりもうまいなんて……。