導く月と花に誓う
うう…と、目すら合わせられない。
きっと顔もゆでダコ状態だ。
…で、こいつは心の中でどうせ、面白がっているんだ。
「───一つ。」
「…え?」
「ただ、一つだけでいいんです。
私の願いを、聞き入れてはくれませんでしょうか…?」
その表情は今まで、見たことのない……
「……私と、契約を、交わしてはくれませんか…?」
まるで、子供が恥ずかしそうに何かを欲しがることを打ち明けるような…
そんな、表情だった。
この人(妖怪)は、今までどれだけ『頼む』ということをしてこなかったのだろうか。
その想いだけが、あたしの脳内に強く、強く、焼き付いた。