導く月と花に誓う
でも、今だけは…
そんなことは、どうでもよくしたい。
「……今度は、本物だよね…?」
「…はい、…?」
いや、だってね…。
先例があまりにも……。
今、思い出すだけでゾッとするし、もしかしたらトラウマになるかもしれない。
すると、孤燈はそんなあたしを見て、フッ、と笑うと、あたしの額へ一つ、キスを落としてきた。
…ひい…っ
前には、孤燈。
背後は、壁。
逃げ場のないあたしは、ただ、硬直するしかない。
それを、孤燈は、再び笑って見ると。
「もちろんです」
紡いだ言葉は、あたしの反応一つ一つを楽しんでいるようだった。
…なんてヤツだ。