導く月と花に誓う
すべての時間が止まったような、そんな感覚に陥りそうになった時。
「千秋〜?ジュース買ったー?」
突然聞こえてきた声に一瞬ビクッ、となってバッ、と勢いよく離れる。
その姿を、孤燈は面白そうにクスクス、笑う。
「…と、とにかく!
みんなにはバレないように!」
「はい。
それはもう、存じ上げております」
そう言って、スッと頭を下げる。
「では、ご旅行を…
どうぞ、お楽しみくださいませ」
最後にそれだけ言うと、その姿は、スッ、と綺麗に跡形もなく、消えていった。
それを見てから、あたしは急いでみんなのところへ戻ったのだった。