導く月と花に誓う
「うん、あたしはパス」
見てる方が楽しいし、と付け足す。
「だよねー。
あたしも見てる方がいいー」
なんて、言っておきながら、目線は見事に前の方に座っている男子…?
…誰を見ているんだろう…、とちらり、とあたしもその方向に密かに視線を巡らしてみる。
と、そこには。
……案の定、やっぱり木村くん、だった。
………飛鳥…。
まだ諦めてなかったんだ。
……高尾宏樹…かわいそうに…。
お前の彼女は、他の男(彼女有り)に夢中のようですよ。
なんて、あたしは通り過ぎる風景を、ボゥ、と眺めながらちょっとだけ、同情した。