導く月と花に誓う
今現在、あたしのいる場所は、二階。
目の前には、階段。
仕方なく、あたしは一つ息を吐いて、隣に置いてあるキャリーを両手で持ち上げ、階段を登り始めた。
しかし、何泊分も詰まっているキャリーは、なかなか手強い。
しかも、合計2つ。
登っても登っても、減っている気がまったくしないのは、もはや、気のせいではない。
ようやく、踊り場までたどり着いた頃にはすでに息は上がっていた。
はぁ、と一つ息を吐いて、よし、と目線を一番上へ向けた時だった。
ふいに、飛鳥の荷物が宙へと浮かび上がった。
…いや、そんなオカルト的なことが起こるわけがない。
誰かによって持ち上げられたのだ。