導く月と花に誓う
ハァ、とため息をつきながら飲み干したカップを、手を差し出してくる狐燈に若干申し訳なく感じながら手渡し、出かける準備に入った。
「あ、そうだ…。
部屋のヤツは適当に使っていいよ。
あと出かける時は、鍵かけといて」
そう言って、あたしは小さな鍵を狐燈の掌へ落とす。
「承知いたしました」
鍵を受け取った狐燈は、軽く頭を下げた。
すると。
「千秋さま」
ふいにあたしを呼びとめ。
「殺りたくなったら、
どうぞ私めをお呼びください」
――物騒…っ!!
笑顔なのが、また冗談に見えない。
「いや、うん。まぁ…考えておくよ」
「はい。いってらっしゃいませ」
さっきの言葉は軽く流すことにして、あたしは目的地へと向かった。