導く月と花に誓う




「……あいつなら、そのうち会える」



“あいつ”とは、たぶん猫鈴さんのことだろう。




「…契約、出来たみたいで良かった」





そう、あたしを横切る時、ボソリ、と耳元で囁く。





それから木村くんは、何事もなかったかのように部屋までの廊下を進んでいった。






一方、あたしは呆然と、その場に立ち尽くす。






いや、だって。




……反則でしょ。








そう考えると、やっぱり木村くんはモテるんだろうな、と実感する。





火照り気味の顔を、パタパタと扇ぎ、あたしも、みんなのいる部屋へ向かった。












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