導く月と花に誓う
「まったく、ほら、あれを見よ」
もう、と短いため息をついて、飛鳥が後ろを指差す。
そこには、奈美と萩森君カップル。
「見せつけてくれるよねー」
「まったくだよー。羨ましいーっ!」
飛鳥の言葉に、どかっ、とあたしの肩に乗っかって、他の子も集まってきた。
「まぁまぁ。
それより、この近くに美味しい甘味処あるらしいから、行かない?」
「賛成賛成ー!」
と、あたしの肩から外れて、みんなは、ほぼスキップ状態で歩き出す。
それを、クスリ、と笑いながらついて行こうとした時。
「……黒瀬さん。」
ふと、誰かに呼び止められた。