導く月と花に誓う
ん?と振り返ってみれば、あの男子、佐川くんがいた。
「あ、別に返事を聞きに
きたわけじゃないから。
ただ、黒瀬さんを見かけたからさ。」
つい、声かけちゃった。
そう言った佐川くんは、はにかみながら頬をかく。
「…佐川くん達は、どこに行くの?」
「ああ、俺たちはこれから嵐山。
……でさ…、」
「…え?」
「返事、修学旅行の最終日…
っていっても明日なんだけど…。
聞かせてもらえないかな…?」
照れたように言った佐川くんに、あたしは戸惑いながらも頷いた。
「さんきゅ。
じゃあ、明日」
そう言って、去っていった佐川くんに、あたしの胸が、ズキン、と痛んだ。
…あたしの答えなんて、もう、決まっているのに。