導く月と花に誓う
「―――千秋…、なんか悩んでる?」
甘味処で、ボー、としながらあんみつを食べていたあたしに、飛鳥が訝しそうに問いかけてきた。
「……ううん!なんにも!
あたし、そんなキャラじゃないでしょ?」
だから、あたしは飛鳥に、精一杯の笑顔で返す。
「そっか、だよねー。
良かったー」
何がいいのかよくわかんないけど…
とりあえず納得してくれたので、結果オーライ。
あたしですら、この状況をどうしていいかわからないし、言葉にできないのに言えるはずがない…。
それから、あたし達はほぼ甘味巡りに走り、お土産品に没頭。
すでに寺云々、どころじゃなくなっていた。
「やばっ、もう宿戻る時間!」
あまりの騒ぎすぎにより時間をすっかり忘れていた、という結末に。