導く月と花に誓う



やっぱりこんなところで、喧嘩なんかしたくない。







消灯時間を過ぎた廊下はしん、と静まり返っていて…

不気味さを強調している。





今だったら、あそこの自販機にいけば

もしかしたら。





…もしかしたら、会えるかもしれない。





そんな、小さな期待を胸に、そこへ向かって走っていた時。




微かな懐中電灯らしき明かりと、小さな靴音が聞こえてきた。






恐らく、見回りの先生だろう。








はっきり言って、……まずい。





サァ、と血の気が引いた瞬間、あたしの身体は突然現れた手によって、非常階段に繋がる通路に引き寄せられた。






そのまま、カツ、カツ、と靴音が少しずつ近づいてくる。











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