導く月と花に誓う
それに合わせてドキドキ、と心臓がうるさく脈打つ中を、懐中電灯を持った黒い影が目の前を、横切っていく。
それを静かに見送ってから、はぁ、と思い切り脱力する。
「……こんな時間に、どうなさったんですか?」
脱力した瞬間、あたしの耳元で囁かれる、甘い甘い声。
…やっぱり、孤燈だ。
結局、離れることなんて
……出来ない。
「……、…たし…」
「………?」
「……あたし…っ」
そう小さく言って立ち上がり、向き合うと、暗くて表情はよく見えないが、微かに驚いていることだけは、読み取ることが出来た。