導く月と花に誓う



残り風が、彼の透き通るような毛並みを、そよ吹かせる。




それを、唖然、と見つめていると。






「…ああ、驚かせてしまってすみません。


これが、私の真の姿なんです…」





もはや、左から右だ。



つまり、あまりに驚きすぎて言葉が出ない。






「ただこの姿は、“主”にしか見せることが、出来ません。

そのように、決められているのです」


「…え、と…。
じゃあ、あれ…は?」




やっと、この状況に頭が追い付いて、あたしも声を出すことができた。





あたしの言う“あれ”とは。




人間と妖怪が混ざった姿。


言うなれば、人間の姿と妖孤の姿が半々に混ざっている姿のこと。











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