導く月と花に誓う



――――…そういえば、昔。


まだ、あたしが小さかった頃。



お母さんとお父さんの、本当の心に気づく少し前。





…確か、その日はみんなで遊園地に行って。



あまりの人で、あたしは迷子になってしまったんだ。





不安で、悲しくて。



でも、どうしようも出来ないあたしはただただ、泣くしかなかった。






思えば、その時だった。




あたしの目の前に、小さな炎が光を宿して現れたのだ。




でもなぜか、それはあたしだけにしか見えていないらしくて。


あたしの周りの人達は、平然と横切ったり、通過していく。






それでも、それは不思議と怖いと感じさせないもので。






あたしは、導かれるようにその炎の灯す先をついていった記憶がある。












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