導く月と花に誓う
ふ、とあたしに背を向けて。
「…情けない限りです、ね」
はぁ、と小さなため息をつく狐燈に、あたしはどうしようも出来ない。
だから、近くにあった石の上に乗って、ドッカ、と狐燈に思い切り乗っかった。
「………ッ!?」
よろり、とバランスを崩しながらも、え、と驚いた表情を向けてきた狐燈に、あたしは言う。
「耳」
「…はい?」
「…耳、出して」
あたしの言葉に、たくさんのハテナマークを頭に浮かべながらも、狐燈はシュン、とその姿を妖狐にさせる。
それを、あたしは微笑んで眺め、ホニホニ、と触った。
「…あの、千秋さま…?」
「一回でいいから、触ってみたかったんだよねー」
ホニホニしながら、あたしはウーン、と考える。