導く月と花に誓う
なんですか、とは言えなかった。
……いや…。
言える雰囲気ではなかった。
「……はい。」
ただ、その表情を見たとき、静かに返事をするしか今のあたしには出来なかった。
「…狐燈のこと、よろしくね?」
そう、雪華さんはすごく哀しそうな表情で、声で、あたしに静かに囁く。
「────はい。」
だから、あたしは精一杯の気持ちを込めて、返事を返した。
そして、ふいにあの二人の方へ視線を向けた時。
「今ここでくたばれ、腹黒妖狐」
「そのお言葉、そっくりそのままお返しします」
「いつか丸焼きにしてやる」
「相変わらず面白いことを言いますね」
…………。
めちゃくちゃ言い争っていた。