導く月と花に誓う
飛鳥の彼氏とは何回か会ったことがある。
…ただ会っただけで、大した話はしていないけど。
だから、顔見知り程度だ。
そうこうしているうちに予鈴がなり、1日が始まった。
ペラペラと連絡している先生の話を左から右へ受け流しながら、窓の外に視線を向ける。
…いい天気だなー…
蒼い空、白い雲
どことなく吹いてくる、涼しい風。
「――まぁ、もう少しで夏休みだが…
あまり、はしゃぎすぎないように。以上」
なんて、担任の最後の言葉だけがあたしにようやく届いて。
きりーつ、礼。と言う学級長の声で朝のショートホームルームは終わった。
そうか…言われてみれば、
もう夏休みじゃないか。
あまりにも普通に過ごしてきたため
夏休みの存在をすっかり忘れていた。