導く月と花に誓う
「…ってぇな!
なにすんだ、雪華!」
「うるさいのは、あんたよ。
近所迷惑」
相変わらずの毒舌っぷりである。
そぅっ、と離れたあたしは二人の姿を、ああ……、と見る。
「さ、今のうちに…」
と、ふいにあたしの耳に軽い吐息と囁き声が届いて。
「…え?」
なんて、やっぱりあたしが理解する前に、先に身体が動くんだ。
「あのままお二人に付き合っていましたら、折角の夜があけてしまいます」
二人から静かに離れるとそう言って、古い家々を飛び越えていく。
…ああ、なるほど。
なんて、呑気なことを考えた時、あれ?と思ったあたしは、携帯の液晶に視線を移す。