導く月と花に誓う
…………。
「すみません。
すぐに、止めますので……っ」
そう言いながらもクスクス、笑い続ける。
なんかもう、どうでもいいや…。
はぁ、とため息をついて、街を眺めながら腕を組む。
その時、ポツリ、と雫があたしの頬に一滴、落ちた。
え?と疑問に思ってソッ、と見上げてみると…。
「……もしかして、泣いてるの?」
ポロポロ、と雫を一滴一滴落としている狐燈の姿が、双眸に映った。
「…はい。
…こんな、温かい気持ちになったのは
生まれて、初めてですので」
まったく、…紛らわしいんだから。
でも。
その雫は、宝石のようで…
少しだけ、綺麗だ、と思ってしまった。
ふと空を仰ぐと、ふわり、と風が吹き抜ける。
―――もうすぐ、夜が明ける。