導く月と花に誓う
見るからに、随分ご立腹のようだ。
「でもちゃんと断ったんでしょ?」
「…うん」
「そりゃ仕方ないさ。
どうせ、原因はタクでしょ?」
「そうだけどさ…」
ちょっと補足をしておくと…。
“タク”こと山本巧(やまもとたく)
簡単に言えば、奈美の彼氏である慎の相方。所謂親友。
でも必要ないから、覚えなくて全然問題ない存在。
───そんな感じで、よしよし、と奈美を宥めていると。
「───奈美」
その声と、一つの影があたし達の前に現れた。
「奈美、ちょい来て」
「嫌だ。知らない」
「奈美! 話を聞けって!」
「どうせタクがどうとか言うんでしょ?」
傍観者でしかないあたし達は、そのやり取りにハラハラドキドキ。