導く月と花に誓う
つまり、静かに。とのこと。
「すみません…。
少し厄介なことになりました」
「…はぁ?」
と、小声で言い合う。
その時、突然あたしの体がふわり、と宙へと浮く。
「…ちょ…っ!
お、おろして!てか、おりたい!」
「それは出来ません。
じゃないと、千秋さま…
食べられてしまいますよ」
ニッコリ、とこれまた物騒なことを言ってくる妖怪。
「大丈夫です。心配はいりません。
とても可愛らしいですから」
いやいやいや…っ!
心配しない要素ゼロだからっ
しかも、変態と捉えてもおかしくない発言。
…もう…そうじゃなくて…!
「…って、 どこ行くのっ!!」
思考がついていかないまま、いきなり狐燈はすごい勢いで走りだした。
しかも耳は生え、さらに追いうちかのように、尻尾まで…。
九尾がゆらゆら、ふわふわ、と揺れる。
姿は、完全に妖狐に戻っていた。