導く月と花に誓う
すると、偶然にも後ろを振り向いてきた彼とバチン、と目が合って。
どうしよう、と激しく思った時、彼の口が、こう言った。
───『出口で』
それが、あまりにもサマになっていて。
ドキン、と高鳴る胸を抑えて、こくん、と頷いた。
こんなにも。
まだ出たくないと思うのは、きっと、今後ないだろう。
でも、そんな願いは叶うことなく。
あっという間に、出口へ着いてしまう。
はぁ、と一つ息を吐いて、ガヤガヤしている周りを見渡すと、なぜか、その姿はすぐ見つかった。
「佐川くん」
みんなに気づかれないように彼に近づき、名前を呼ぶと。
「…黒瀬さん」
嬉しそうに、でもどこか複雑そうな表情であたしの名を呼んだ。