導く月と花に誓う
読者のみなさん。
こんにちは、黒瀬千秋です。
突然、このような始まり方でまったく理解していないと思い、大変申し訳ないのですが。
どうやら、あたしは三日間も眠っていたらしい。
その途中で見たものが、先ほどの夢だという。
砂狗の話によれば、あのまま夢の中を彷徨っていたら、もしかしたら戻れなかった…とか。
考えただけで恐ろしいことを聞いてしまった。
「それで、狐燈は…」
静かに言ったあたしを、雪華さんが気まずそうに、見据える。
「───千秋ちゃんには、少し酷な話かもしれないわ」
たぶん、もうどうしようもなく
あたしは、気づいていたんだ。
「───いなくなったというよりは、自ら去っていったという方が正解ね」
いずれ、こうなることが。
そして、そう紡いだ雪華さんは静かに、その瞳を閉じた。